香典

～香典とは～
「香典」は、故人の霊に手向ける「香」の代わりの金品です。かつてはその「香」を弔問客が持参し、霊前で焚くことで供養していました。そして、現代ではその習慣がお香料として現品を包むぬかたちに変化しました。

■香典の渡し方
　香典を持参する時期に特別な決まりはありませんが、通夜か葬儀の最初の弔問の時に持参するのが一般的です。ただし、訃報を受けてすぐなどの通夜の前に駆け付けるときには持参しないことが礼儀です。遺族がまだ死亡を受け入れる気持ちが整っていないのが普通ですから、あわてさせてしまいます。また、あまりに早いとあらかじめなくなることを予測して準備していたという印象を遺族に与え、気持ちを害することにもなりかねません。注意しましょう。
　遠隔地に住んでいる場合やどうしても通夜や葬儀に参列できない場合には、香典を郵送することは失礼には当たりません。郵送するときには、まず現金を不祝儀袋に入れてから現金書留用の封筒に入れて送ります。そして、葬儀に参列できない事情やお詫びの言葉、お悔やみのお手紙を添えましょう。
　香典を渡すときには不祝儀袋をむき出しのまま持参するのは失礼になるため、紺やグレー、紫色などの地味な色の袱紗に包むのが正式です。もし袱紗がない場合には、小さな風呂敷やハンカチで構わないので必ず包んで持参するようにします。通夜や葬儀などでは受付で渡します。その際、袱紗から取り出した香典を名前が相手から読める向きにして差し出し、「どうぞ、御霊前にお供えください。」などの言葉を添えて渡すようにしましょう。なお、祭壇に供える場合は名前が手前側から読める向きで供えます。

■香典の包み方
　香典はお通夜や葬儀で渡す場合には不祝儀袋を使います。半紙や奉書紙などで中包みと上包みをして黒白か双銀の水引を結びきりでかけるのが正式な方法ですが、最近は市販の不祝儀袋を使うのが一般的です。
　不祝儀袋にはいくつか種類がありますが、双銀や黒白の水引は仏式、神式、キリスト教式のいずれにも使うことができます。また、白一色の水引は神式で使われることがあります。そして、蓮の花が印刷された不祝儀袋は仏式専用で、百合や十字架が印刷されたものはキリスト教式以外には使えません。喪家（故人の家）の宗教に合わせて気を付けて選びましょう。また、水引や紙の種類は中に入れる香典の金額に相応しいものを選びます。
　表書きや中包みの書き方にもマナーがあるので注意しましょう。中包みは表面の中央に大きめに金額を書き、裏面の左下に表面より小さめに住所・氏名を書きます。市販の袋で氏名欄などが印刷されている場合はそれに従いましょう。
　表書き（上書き）は宗家の宗教に準じます。「御霊前」は、各宗教に共通して用いられます。ただし、浄土真宗では使用できないため「御仏前」などとします。また、法要にも「御霊前」は使用しません。市販のものでは表書きが印刷されていものもあるので注意して選びましょう。そして、表書き（姓名）は水引よりも少し下の中央に氏名を書きます。薄墨で書くことがしきたりとされていますが、筆ペンを利用する場合などは通常の濃さでも失礼にあたりません。また、連名で贈る場合は氏名を書くのは3名までで右端に目上の人の名前を書きます。3名を超える場合は「○○課一同」と書き、全員の住所・氏名を別紙に書いて中包みにいれます。

■香典を包む金額
　香典の金額は、弔問客と故人の生前の関係の深さや喪家の格式、葬儀の規模、そして弔問客の経済力や社会的な地位などにより異なります。故人の近親者や親戚であれば一般の人よりも金額は多くなります。一般的には親・実家は5万6000円以上、兄弟や甥・姪には5万円前後が多い。そして、友人・知人は1万円、職場関係は5000円～1万円が多い。

■香典を包むときの注意点
　香典には使い古したお金を包むことがマナーとされています。新札はあらかじめなくなることを予測して準備していたという印象を与えるためです。新札を包む場合は、一回折ってから包むとよいでしょう。また、お金の入れ忘れや袋に書いた金額と違っていないかは家を出る前によく確認しましょう。