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子どものトラブルに基づく損害賠償請求

■体育授業中の事故
学校の授業、特に体育の授業においては、授業内容それ自体に一定の危険性を含むものがあり、学校ないし担当教員に対しては生徒に対する事前の注意や指示は勿論のこと、授業計画の作成、適任教員の選任、教室・校庭等の安全管理、実施の監督及び補助体制や事故発生後の措置など、様々な段階において安全確保のため注意義務が課せられています。

この点、小学六年生の生徒(以下、A)が、ある市(以下、B市)の小学校の校庭で体育の授業中、15人の児童が3段となって最上位の児童を支える技である4段ピラミッドの組体操の練習に参加していたところ、4段目から落下して左腕を骨折したという事例で、判例は体育の授業において、上記のような担当教員の高度な注意義務を認めた上で、担当教員には①事前指導の注意義務とともに、②3段名以下の児童が不安定な状況でAを立ち上がらせないように、ピラミッドの状況を十分把握して立ち上がりの合図をすべき注意義務、③ピラミッドの近くに教員を配置して3段目以下の児童が不安定な場合には、その段階で組み立てを制止すべき注意義務、④Aが自ら落下を回避せずに落下してしまう事態に備えて、補助する教員を配置するなど、Aを危険から会費・軽減させる注意義務があったところ、①~④のいずれの注意義務も十分でなかったとして、担当教員には各注意義務を怠った過失があると認定し、B市のAに対する損害賠償責任(国家賠償法1条1項に基づく)を認めました。

なお、Aの損害が、Aの不注意や行為(例えば、最上位からのジャンプ)などA側の事情にも起因しているような場合、B市側から過失相殺の主張が出てくることも考えられますが、上記判決では、児童が担当教員を信頼してその管理・指導に服し、担当教員側も心身共に未発達の児童を指導するのであるから、児童に不注意や能力不足があることを考慮に入れて指導・監督・補助すべきであって、原則として、児童の不注意や能力不足を被害者の過失として評価すべきではないと判断しています。この点は、児童(生徒)と学校・教員との間の法律関係における特殊性といえるでしょう。

生徒と学校・教員との間の法律関係における特殊性に着目するのなら、課外部活動中に生じた事故の場合はどうなるのでしょうか。
この点、部活動も授業の延長線上のものとして上記に挙げた注意義務が担当教員・指導監督に課せられると考えられています。そのため、判例では、担当教員・指導監督ができる限り生徒の安全にかかわる事故の危険性を具体的に予見し、事故の発生を未然に防止する措置をとるべきであったのにそれを怠り、上記注意義務が欠けたために事故が発生した場合、損害賠償責任を負うとしています。

■いじめ
いじめ問題は1980年代から社会問題化し、その後も大きな議論を呼んできましたが、近年、学校側がいじめはなかったとして適切な対応をしなかったことが原因で起こった大津市中2いじめ自殺事件を契機に、深刻化するいじめ問題への対応を議論する声がさらに高まりました。これにより、国会での議論も活発化し、「いじめ防止対策推進法」が施行され、いじめへの対応と防止について行政や学校・教員等の責務が明らかにされました。

いじめ防止対策推進法において、いじめとは、「当該児童生徒が,一定の人間関係のある者から,心理的,物理的な攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛を感じているもの」(同法2条)と定義され、いじめの発生場所は,学校の内外を問わず,また「攻撃」の中には集団による無視やインターネット上で誹謗中傷を行うネットいじめなど心理的圧迫で相手に苦痛を与えるものも含みます。ただし、言うまでもないことですが、このいじめの定義を設けたからと言ってこの定義に当てはまらないような場合でも、加害行為を制止あるいは加害者生徒に対する指導を行わなくてもよいというわけではなく、加害行為を見過ごしてはならないことは当然のことと言えるでしょう。

いじめに対する損害賠償は、通常、学校側に請求することになります(国公立学校については国家賠償法、私立学校の場合には民法に基づく請求となる)。なぜなら、いじめ加害者は、未成年者で自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(=事理弁識能力)を備えていない場合、責任追及することができず(民法712条)、たとえ事理弁識能力があったとしても通常は損害賠償債務を支払う資力がなく徒労に帰すためです。

また、いじめ加害者の親権者に請求する場合、監督義務者の監督責任違反による損害賠償(民法714条)ができますが、このような場合には、被害者側が監督義務者の過失及び加害行為による損害との因果関係を立証する必要があり、容易なことではありません。なぜなら、監督義務者が監督責任を怠ったという事実とそれにより損害が生じたことの立証は、親がきちんと面倒を見ていないという抽象的なレベルではなく、適切に監督義務を果たしていれば、いじめという加害行為を十分回避することができたという具体的な事実の立証が必要だからです。

そのため、通常、「学校は…生徒につき、学科について教育するだけでなく、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全を確保すべき義務を負う」という安全配慮(確保)義務違反を根拠に学校側へ追及していくことになります。

ここでの請求も、学校側の過失(安全配慮義務違反)及び加害行為による損害との因果関係を立証する必要があります。
これらの立証のためには、①被害者の学校内での態度に不審な点があったこと、②いじめ加害者の学校内での態度、③いじめ加害者の非行歴、④被害者が過去にいじめの被害者になっていたこと(また,その際に学校に対して、改善の申入れをしたこと)、⑤被害者から学校に対する申入れの有無などの事実を主張し、学校がいじめの事実を把握していたまたは把握すべきであったのに怠ったことを立証する必要があります。
担当教師がいじめの事実を把握していない場合であっても、通常の担当教師であれば、いじめの事実を認識し得たという場合であれば、その事自体を義務違反と主張することが可能でしょう。

■退学処分の適否
学校側の生徒に対する処分であっても、処分の態様やこれにより侵害される生徒の権利・利益を考慮した結果、違法とされることがあり、その場合、不法行為責任あるいは債務不履行責任に基づき、損害賠償請求が認められる場合があります。

しかし、学校教育法11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めることにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる」と規定しており、学校長等による一定の懲戒処分を認めています。また、実質的にも、学校による処分の特殊性として、教育機関たる学校の専門的・教育的知見に基づく自律性も尊重すべき必要性があることから、裁判所は、学校側に一定の裁量が認められることを前提として、その裁量権の逸脱や濫用が認められる場合に、違法行為として損害賠償を認めるという傾向があります。

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