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相続税対策
"相続税を節約するには、おもに「相続財産を減らす」、「相続財産の評価を下げる」、「税法の計算規定を利用する」という3つの方法があります。ここでは、これらの方法についてひとつずつ説明していきます。
■相続財産を減らす
相続税の額は相続された財産の総額を基本に、他の特例なども加わって決まります。したがって、相続財産そのものを減らすことが相続税の節約へと直接つながってくるというわけです。それでは、その具体的な方法について個別に紹介します。
・生前贈与の活用
相続税対策の王道ともいえる生前贈与。というのも、相続税対策のなかでも、生前から少しずつ財産を分けていくという方法が最も基本的で実行しやすいからです。ただし、生前贈与を行うにあたって問題となるのが贈与税です。贈与税の税率は相続税のものより高く設定されており、同じ額を与えようとしても贈与の場合のほうがかかる税金が高くなってしまいます。そこで、贈与を小分けにして複数回行うというのが一般的な生前贈与の方法です。贈与税には年間110万円の基礎控除があるので、同じ相手への贈与を年間110万円以下に抑えれば無税で贈与することができます。また、年間110万円の控除額を超えて、贈与税を払ってでも短期間で贈与したほうが有利になるケースもあります。この手法は比較的高齢で資産が多いときに有効になりますが、控除額のなかで贈与するのとどちらが有利かは資産額や人数、贈与の期間などの要因によっても変わるので資産を出して判断しましょう。なお、このような短期間での贈与を行う際には、一人当たりへの贈与額を上げることよりも贈与する人数を増やす方が得策です。人数が増えれば財産の分割の速度が上がるだけでなく、一人当たりの贈与税額が減り、その結果、節税へとつながるからです。
ただし、上記のような連年贈与を行うときには気を付けるべきこともあります。まず、実際に贈与があったことを証拠に残すため、現金ではなく銀行振込を利用したほうが良いです。それから、毎年同時期に同額を振り込んでいると、初回の振込のときにはすでに定期的に振込む意思があったとみなされて多額の贈与税が課税される恐れがあります。この対策として、振込の時期や額を毎年ずらすことが大切です。
・配偶者控除を利用して、自宅を贈与
結婚20年以上の夫婦であれば活用すべきなのがこの制度です。贈与税の配偶者控除は、婚姻が20年以上となる配偶者に対して居住用不動産(または居住用不動産のための資金)を贈与する場合には最高2000万円までを課税価格から控除できるという制度で、基礎控除と合わせると2110万円もの控除が認められることになります。同じ夫婦間でこの特例を利用できるのは1回だけなので、2110万円という控除額を最大限活用しましょう。
不動産江尾贈与する場合は、①土地のみ贈与する、②家屋のみ贈与する、③土地と家屋を贈与する、の3種類の方法があります。一般的には土地のみを贈与するのがベストです。これは、家屋の評価額が年々下がっていくのに対し、土地は値上がりの可能性をもっているからです。しかし、近々売却する予定があり、なおかつ3000万円以上の収益が見込める場合には土地と家屋両方を贈与するのが得策です。
・教育資金の一括贈与
「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」では子や孫1人につき1500万円までの教育費用の贈与が非課税となります。制度を利用するための条件は以下の通りです。
①親か祖父母から、30歳に満たない子や孫への贈与であること。
②信託銀行等に預金すること。
③平成25年4月1日から平成31年3月31日までに拠出されたものであること。
・仏壇や墓地の購入
墓地や墓石、仏壇には相続税がかからないので、購入した分だけ相続税を減らすことができます。相続の開始(被相続人の死亡)後に相続人が購入しても節約にはなりませんので、生前に購入しておくとよいでしょう。ただし、この場合も、ローンの返済中に本人が死亡してしまうと、未返済分は相続税の対象となってしまいます。したがって、購入はキャッシュで行うのが無難です。
■相続財産の評価を下げる
・空いた土地にアパートなどを建築する
空いた状態で、地主が自由に利用できる土地を「自用地」といいます。この種類の土地は用途が自由に決められるため高く評価されます。しかし、このような土地にアパートやマンションを建てると、「貸家建付地」となって価値が下がり、評価額が下がります。また、建物の価値は建築にかかった費用のおおむね6割程度に評価されます。これによって、相続財産の評価額がもともとあった財産よりも低くなるのです。
さらに、空き地だった場所に貸家が建つことによって土地が事業用宅地となり、「小規模宅地等の特例」が適用されます。これによって、200㎡までの部分が50%引きで評価されることができるのです。
・土地の利用区分変更
市街地の土地は路線価を基準に価格が決まりますが、2本以上の道路と接していると評価が高くなります。そこで、比較的広い土地を所有しており、その土地が2本以上の道路と接している場合は、土地の分割や利用区分変更をすることで評価額を下げることができます。具体的には、土地が広く、自宅の隣が空き地となっていた時に、自宅の隣にアパートを建築するなどの方法があります。
■税法の計算規定の利用
・生命保険金の非課税枠の利用
遺産総額は多いものの不動産ばかりで現金がそれほど残っていないというケースは珍しくありません。そういった意味で、相続の開始時に現金が入る生命保険は重要です。さらに、生命保険は遺族の生活への保障であるという理由から、相続税からの保護も強くなっています。死亡保険の非課税額は〈500万円×法定相続人の数〉となっているのです。非課税が適用されるためには、契約者と被保険者が同一、かつ受取人には相続人が設定されていることが必要です。
・養子縁組による節税
養子縁組により相続人が増えると、大きな節税効果があります。これは、以下の理由によります。
①相続人が増えることで基礎控除額が増える。
②累進税率が下がる。
③生命保険金・死亡退職金の非課税率が増える。
ただし、法定相続人に含める陽子の数には制限があり、実子がいる場合は1人、いない場合は2人となっています。もちろん、養子になった人は相続の権利を得るわけですから、養子縁組は相続税対策のみならず相続権のない人に財産を与えるための手段としても有効です。"
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