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相続手続きの流れ(遺言が存在しない場合)
遺言がない場合の相続手続きは下記のようになります。
遺言がない場合には下記のような流れで相続手続きを行ないます。
■相続人の調査
戸籍などを用いて法定相続人が誰になるのか調査を行ないます。この時、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本を用いますが、戸籍法改正前の戸籍である「改製原戸籍」が現存している場合には、改正原戸籍も取り寄せなければ、確実な相続人調査を行なうことはできません。専門家に依頼した場合には専門家が相続人の調査を行なうことが一般的です。
■相続財産の調査
相続する財産には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」も借金や損害賠償債務などの「マイナスの財産」も含まれます。被相続人の自宅や持ち物を調査し、財産の記録(銀行通帳や権利書など)を探すとよいでしょう。机の引き出しの中やノートの中から、被相続人の財産を記載した一覧表のようなものが見つかることもあります。
土地の権利書など不動産に関する書類が見つかった場合には、法務局で登記事項証明書を取得し、権利関係を確認するとよいでしょう。また、銀行の通帳や証券会社からの書類、保険会社からの通知書などがあった場合には、取引相手に照会することをおすすめします。専門家に依頼した場合には、相続人から情報を聞き出したうえで専門家が相続財産の確認をとることが一般的です。
■単純承認・相続放棄・限定承認の選択
単純承認を行なう場合には特別な手続きを要しませんが、相続放棄や限定承認を行なう場合には相続の開始があったことを知ったとき(一般的には「被相続人が亡くなった日」)から3か月以内に家庭裁判所に申述を行なう必要があります。
なお、先順位の相続人が全員相続放棄をした場合には、後順位の相続人が相続をすることになります。例えば、相続順位が第一順位の被相続人の直系卑属が全員相続放棄を選択した場合には、第二順位の被相続人の直系尊属が相続人となります。
この場合、後順位の相続人が相続をしたくない場合には、同じく相続放棄を選択して家庭裁判所での手続きを行ないます。
■遺産分割協議
相続人全員で遺産分割協議を行ないます。必ずしも全員が同じ場所に集合して遺産分割協議を行なう必要はありませんが、全員の合意が必要となります。相続人全員が合意したうえで各相続人の相続分が決まったら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には誰が何を相続することになったかを記載し、最後に相続人全員の署名と押印を行ない、印鑑証明書を添付します。
複数の相続人同士が遠隔地に暮らしており、一枚の遺産分割協議書に相続人全員が署名と押印を行なうのが難しい場合には「遺産分割協議証明書」を作成することもあります。遺産分割協議証明書は、一人一人が別々の紙に署名と押印を行ないますが、相続人全員の遺産分割協議証明書が集まることによって一枚の遺産分割協議証明書と同じ効力を有します。
なお、遺産分割はその後の相続税の支払いにも影響するため、「どのような分割方法(現物分割、換価分割、代償分割、共有など)を選択するのか」や「寄与分や特別受益がどれくらいあるのか」といったことを含めて慎重に話し合うことが求められます。
■各種手続き
遺産分割協議書が完成したら、被相続人の銀行口座から預貯金を相続人の口座に移したり、生命保険の保険金を受け取る手続き、不動産の相続登記などを行ないます。
銀行口座の手続きの場合には、各金融機関に用意されている「相続届」への記入を行ない、遺産分割協議書や戸籍謄本、印鑑証明書などとともに提出して口座の名義変更・解約払戻などを行なってもらいます。
生命保険の手続きの場合には、保険会社に連絡をし、死亡保険金請求書などの書類に記入し、提出して保険金を受け取ります。
不動産の相続登記の場合には、登記申請書を法務局で提出しますが、遺産分割協議書以外に登録免許税として収入印紙を用意したり、固定資産評価証明書を用意する必要があります。
■相続税の申告・納税
相続税の申告と納税は、相続の開始があったことを知ったとき(一般的には「被相続人が亡くなった日」)から10か月以内に行なう必要があります。
原則として、相続財産の評価額が相続税の基礎控除額を下回った時には申告も納税も行なう必要はありません。
相続税の基礎控除額は次の計算式で表されます。
基礎控除額=3000万円+(法定相続人の数×600万円)
基礎控除額を上回った場合には、その他の控除や特例を用いて相続税の支払い額が0円になったとしても相続税の申告を行なう必要があります。
また、死亡退職金や生命保険などは「みなし相続財産」といわれ、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を差し引いたうえで相続財産に加算されます。
相続税の申告・納税まで完了すれば、相続手続きはすべて終わっているケースがほとんどです。故人の財産を生かして新たな生活をスタートします。
相続手続きにはさまざまな専門家が関わりますが、税務申告が必要な場合には、税理士に依頼することが多いと言えます。
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