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海外サイトと法律関係
■準拠法
インターネットを介して結ばれる契約は日本国内だけにとどまるとは限りません。
例えば、海外の○○国に住んでいる○○人が運営しているサイトを日本国内に住んでいる日本人が利用するとします。この○○国のサイトで日本人が詐欺被害にあったときどのように対処すればよいのでしょうか。
ここで問題となるのが準拠法です。準拠法とは、どの国のどの州の法律が適用されるのかということです。準拠法がはっきりしない場合、どの法律を参照すればよいかわからないわけですから、問題の解決が遠のいてしまいます。
準拠法について規定する法律には「法の適用に関する通則法」(通則法)があります。
■通則法7条
通則法7条では、「準拠法は当該法律行為当時に当事者が選択した方による」とされています。例えば、利用者がサイトで利用登録をする際に「日本法を準拠法とする」という合意をしていた場合には、日本法が準拠法となります。
通常はサイトの運営者がサイト上に「○○法を準拠法とします」ということを明示し、利用者がそれに合意して契約が結ばれることになります。サイトの運営者がどの国の法律を準拠法とするか決めることになるので、特に海外系のサイトを利用するときは利用者側の確認が重要になります。
万が一、準拠法に関する合意で利用者に一方的に不都合になるような不当な規定があれば、通則法42条の公序規定で対処することになります。通則法42条の公序規定とは、外国法を適用する場合で善良の風俗に反するときには、外国法を適用しないという規定です。
しかし、ワンクリック詐欺や、ツークリック詐欺の場合には、準拠法に関して明示されずに契約が結ばれてしまうことがあります。そのような場合は、消費者保護の観点から、利用者が居住している地域の法律が適用されることになっています。
例えば、準拠法について何も合意しないまま日本に住んでいるAさんが日本からアメリカ人が運営するサイトで利用登録したとします。この場合、利用者であるAさんの日本法が適用されることになります。また、通則法17条では、不法行為責任に関する法は被害者の居住地の法を適用するとされています。
(参考)
通則法
第7条法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した法による。
第42条外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の公序または全量の風俗に反するときは、これを適用しない。
第17条不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見できないものであったときには、加害行為が行われた地の法による。
■国内の裁判管轄
インターネットで取引して問題が起こったとき、どこの裁判所が裁判権を持つかが問題となります。このことを裁判管轄と呼びます。裁判管轄について定めている法律には、民事訴訟法があります。民事訴訟法では、国内で問題が起こった際には被告を基準に管轄する裁判所を決めるとされています。
例えば、名古屋で事業所を構えている被告から東京で被害にあったAさんが不当利得返還請求をしたいという場合、名古屋地裁が裁判権を持つことになります。
■合意管轄条項
「本契約で生じる紛争については○○裁判所を管轄とします」とサイト上で明示されていることがあります。民事訴訟法11条2項では、管轄の合意は「書面」によらなければ効力を生じないとされていましたが、規定が追加され、電磁的記録でもよいということになりました。したがって、どの裁判所を管轄とするかサイトに明示されている場合はその裁判所で問題を取り扱うことになります。
例えば、日本で中国のサイトを利用して紛争に発展したとします。サイト上で利用契約をするときに「本契約で生じる紛争については中国国内の裁判所が管轄します」と明示されており、利用者が合意していた場合は、日本の裁判所で裁判することができません。
■国際裁判管轄
国際裁判管轄とは、異なる国同士で紛争が起こったときにどちらの国の裁判所で裁判を行うかということを指します。民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律により日本で裁判をする場合は以下のように決められています。
・普通国際裁判管轄
人に対する訴えの場合、被告が日本に住んでいるという場合に限り、日本で裁判することが認められています。
・特別国際裁判管轄
債務の履行を求める訴えや、事務処理・不法利得に係る請求の場合、債務が履行される場所で裁判が行われます。
例えば、日本で詐欺にあったAさんがアメリカのサイト運営者Bに不法利得返還請求をする場合、債務の履行地は日本なので日本の裁判所で裁判が行われることになります。
また、詐欺などの不法行為に関する訴えは、被害があった国の裁判所で裁判が行われることになっています。原則加害者の国で裁判が行われることはありません。
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