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口約束でも契約になるって本当?

契約に関する知識について、大切な部分を誤解されている方がいらっしゃいます。
契約に関する法律相談で、一般の方がよく口にされる言葉で、
「まだ、契約書にサインしてないから大丈夫だよね」
と言われる方がおられます。
つまり、まだサインしてハンコを押してないからまだやめられるよね。ということなんでしょうけれど、実はこれNOなのです。

◆諾成契約という考え方◆

諾成契約とは、契約の当事者の意思表示が合致するだけで目的物の引渡しなどがなくても成立する契約をいいます。
例えば、賃貸借で言えば、近所に住んでいるマンションの大家さんに立ち話ついでに「この部屋借りたいです」と口頭でお願いしたとします。これに対し大家さんが「どうぞいいわよ」と返事をしたとします。諾成契約とは、これだけのやり取りで契約が成立するという考え方なのです。近代法では、諾成契約が原則であり、民法に規定している13種類の典型契約(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用(雇傭)、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)のうち、消費貸借、使用貸借、寄託以外は諾成契約の扱いとなります。

◆なぜ契約書を作るの?◆

ではなぜ契約書を作るのか、それは契約を補完するためなのです。
例えば、あなたが親や兄弟にお金を貸すときに、いちいち借用書を書いてもらいますか?金額にもよるかもしれませんが、仲の良い家族であればそんなことはしないでしょう。
なぜなら、100%信用しているからです。つまり、将来貸したお金の返還をめぐって争うつもりがないからです。
しかし、見知らぬ人や遠い知り合いにお金を貸す場合はどうでしょう。絶対に借用書を書いてもらいますよね。
なぜなら、万が一あとから「そんなの借りてないよ」と言われた時のためです。
つまり、契約が口頭で成立しても、後日それで紛争になった場合には、「証拠」が必要になるのです。そしてその証拠がまさに「契約書」の存在意義なのです。

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