●中国子会社の税務と内部統制
クライアントは中国に子会社を持っています。日本本社は立ち上げ間もない中国子会社に、技術的な支援に加え、本社の権利の使用を認め、その対価を得ていました。
中国では海外送金に際し、契約書を関係する当局に提出しなければならなかったのですが、上記取引の対価としては、送金は認めないとの当局の発言を受け、事務を行っていた現地人担当は、当局員のいうままに、中国語契約書の修正を受け入れてしまいました。結果として、元々の日本語版と中国語版に齟齬が生じてしまい、それが長年運用されていました。近年、取引価格に関する現地税務で調査が入った際に、支払名目が論点となり、それが発覚しました。本来であれば契約書は社印が必要なのですが、それも現地人担当が使えてしまう社内管理をされていたようです。
依頼を受け、関係者のインタビューを通し、税務の問題から遡り原因を探っていくと、根源は「社員の職務範囲とその管理・監督」という内部統制が機能しなかったことにありました。
これに対して、内部統制の基準を見直すことと、作成しただけでは意味がないため、それを実務に落とし込むための支援を行いました。運用するのは多くが現地人であり、機能化に向けては一方的に過度に日本的な内容を押し付けることは避けるべきで、現地の業務・感覚に即して基準を刷新し、落とし込む必要があります。